前回、能力の診断方法・予想観点には、大きく分けて、

1.タイム(A.全体の走破時計や、B.上がり3ハロン(最後の600mのこと)の時計)の速さ
2.展開・ラップ
3.相手関係

などがあるとご紹介しました。

今回はタイムについて、取り上げます。

タイム(A.全体の走破時計)は、短距離戦において、有効な能力診断手法となります。1200m以下のレース(スプリント戦と言われます)は、スタートからゴールまで全速力で走る展開になることがほとんどで、速く走れる馬のほうが、単純に能力が上だと判断できます。

しかし、ここでもポイントがありまして、
a. 競馬場やコースによって時計の出方が違うこと
b. 同じ競馬場やコースでも、降雨の影響や開催時期によって時計の出方が違うこと
c. 同じ競馬場やコースでも、道中のそれぞれの馬の位置取りによって時計の出方が違うこと
を留意頂かなければなりません。

a.については、競馬場それぞれの芝コースに使われている芝の種類が異なることに起因しています。

日本の競馬場に使用されている芝は、大きく「野芝」と「洋芝」という種類に分かれます。野芝を多く使っているコースほど走破時計が速くなる軽い馬場であり、洋芝を多く使っているコースほど走破時計が遅くなる重い馬場となります。

具体的には、北海道の札幌競馬場と函館競馬場は基本的に洋芝のみとなっており、時計が遅くなる傾向がある一方、新潟競馬場や小倉競馬場は基本的に野芝のみとなっており、時計が速くなる傾向があります。

中央開催地である東京・中山・京都・阪神は野芝と洋芝を混合していて、上記の中間に当たりますが、馬場が重い順に、阪神≧中山>京都≧東京という並びになるのが通常の傾向です。

まとめますと、基本的な馬場の重さの序列は、馬場が重い順に以下のとおりとなります。
函館、札幌 > 阪神、中山 > 京都、東京 > 新潟、小倉
(福島競馬場と中京競馬場は、開催前半は速く、開催後半は重くなる差が大きい傾向があります)

これにより、1200mの勝ち時計が同じ馬が2頭いたとしても、函館競馬場でその時計を出した馬(A)と、小倉競馬場でその時計を出した馬(B)では、Aのほうが強い可能性が高いと考えられます。

なお、競馬場による馬場の違いは、適性の向き不向きといった観点で、中級者以上の大きなテーマ(予想要素)に関連してくるものですが、ビギナーの方は、競馬場間の走破時計を安易に比較して強い弱いを判断してはいけないことを覚えておいてください。

長くなってしまったので以降は次回にします。

2011.06.28