2009年のエリザベス女王杯と有馬記念をご覧頂き、それぞれで一番強い競馬をした馬及びその理由を設問とした件の解答です。

(解答例)
1.中距離以上のレースで、逃げ馬と2番手の馬が後続を大きく引き離す展開。結果的に前の2頭が残ったものの、勝ち時計は平凡。一方、後続は実質超スローペースで、上がり最速の末脚を繰り出して前の2頭を猛追した内容からブエナビスタが最も強い内容を見せている。

2.ハイペースで先行勢が壊滅する中、先行しながら最後まで勝ち負けの争いをした内容からブエナビスタが最も強い内容を見せている。

今回は、能力診断の要素「展開」の問題を作ってみました。

Aは、歴史に残る前残りが発生した2009年エリザベス女王杯です。レースラップは、12.5-11.3-12.2-12.3-12.2-12.2-12.3-11.8-11.7-12.2-12.9と、澱みのない流れですが、これは逃げたクイーンスプマンテが刻んだもの。有力馬は後方で牽制し合った結果、残り600mで20馬身以上という致命的な距離差になってしまいました。

ブエナビスタの上がり3Fは32.9秒。中距離で競走馬が出せる限界と言ってよい究極の末脚で最後は勝ち馬に0.3秒差まで追い上げました。20馬身以上差というと、時計では4秒以上の差で、後続の刻んだ実質のラップは13秒台が何回かある超スローペース。したがって、後続各馬の能力は上がりの速さで示されると考えられます。

これが、レコード決着等、上位馬も速い上がりの脚を使っていれば、どちらが強いかを考える必要がありますが、今回は前にいた2頭は直線でバテており、勝ち時計も平凡。後続がここまで離されていなければ、上位2頭は差されていたでしょう。

Bは、逆にハイペース。レースラップは、6.8-11.0-11.2-11.3-11.9-12.3-12.6-12.3-12.5-12.1-12.0-11.7-12.3となっています。上がり3Fに着目すると、急激な落ち込みはないので本当に前崩れのハイペースレースなのか、一見してもわからないかもしれません。

しかし、レースVTRや通過順位が掲載されている成績表をご覧頂ければ一目瞭然ですが、先行馬の中でただ1頭ブエナビスタが頑張って脚を伸ばしていまして、途中まで先頭に立ってラップを刻んでいた馬は最後には馬群に沈んでいます。ラップはあくまでもその地点において先頭にいる馬が到達したラップであり、上がり3ハロンの時計が急激に遅くなっていなくてもハイペースである可能性があります。

今回のクイズは「展開」をテーマとした問題ですが、ラップを見ただけでは極端なペースになっていることを判断しにくいことがある事例として取り上げさせて頂きました。

ご参加頂いた方々は皆よく理解されていますね。馬流天星を楽しんで頂いている方々にはちょっとやさしいレベルの問題だったかもしれません。

2011.07.05