競馬予想の基本は、馬の能力や特徴を把握することです。私はこのような馬を見る予想方法を勝手に「正統派」と呼んでいます。以前、データ予想をずっとやっていた時に、馬を見ない自分の予想方法を異端だと思い、ちゃんと見ている方の予想を「正統派」と呼んだのがきっかけで、当時は自分が正統派になろうとは想像もしませんでした。この正統派という競馬の予想法は、正しい競馬の見方<競馬とはどのようなものなのか>を教えてくれ、予想の的中率、回収率とも飛躍的に上昇させてくれました。今後、馬を見ない予想に戻ろうとは思いません。

 正統派で得た知識の肝を一言で言えば「能力の重要さと他の予想要素の重要さ」です。前者については、強い馬は強いし、弱い馬は弱いという当たり前のことです。例えば、競馬では人気馬の敗退や人気薄の激走が度々起こりますが、それは人気が間違っているのであり、負けた人気馬は実は弱く、勝った人気薄の馬は実は強かったという場合が多いです。一方、後者についても、能力がわかることによって、他の紛れを起こさせる外部的要因(適性、条件、展開等)が波乱を起こすことをより具体的に知ることができます。人気の形作られ方は、新聞等の情報(主に馬柱(新聞に載っているそれぞれの馬の過去の成績)の着順が優秀かどうか)であり、本来の実力と乖離してしまうことがあります。新聞における記者の印は、枠順を反映していないという事実もあります。人気と実際の力や適性、条件、展開等とのバランスを把握しているといないとでは、馬券の回収率に影響があります。

 大昔は、このノウハウは本当に競馬を本職にするくらい毎週競馬を見に行く人にしか得られなかったものだと思いますし、一昔前でもグリーンチャンネルを自宅に引いて毎週のレースVTRを録画して見直しをする位の努力ができる方にしか得られなかったものでしょう。だからこそ、競馬の基本であるはずなのに時間的な制約が大きすぎて、着目されてこなかった方法なのだと思います。しかし、数年前よりJRAは「JRAレーシングビュアー」という、パソコンで自分の必要なレースを何度でも繰り返し見ることができる画期的なサービスを開始しました。これにより、週末、競馬だけに時間を割けないファンにも、正統派への道が拓けました。このインフラが今後どれほど競馬予想とオッズに影響を与えるかはわかりませんが、スピード指数が盛んになった時のように、今後の主流と変わってくるかもしれません。しかし、馬を見て能力を評価していく手法は他のいずれの予想法と比べても簡単と言えるものではなく、いくらかの時間と努力とコツは必要なので、玄人向きの方法だと思います。

 馬柱で馬の能力を比較することもコツを掴めばある程度可能ですが、慣れるまではレースを見るようにしましょう。レースを見ると、馬それぞれの癖がわかってきます。例えば、戦前に「前に行けば好勝負」と関係者が話している馬を、前につける脚はないと最初から軽視することもできたりします。レースを見るためには、JRAのレーシングビューアーに加入する必要がありますが、月々税込525円と安価ですのですぐに導入したほうが良いでしょう。それがないと正統派への道は始まりません。

 もし、これまであなたが行ってきた予想方法があれば、まずそれを横に置いておいて、PRETの予想技術を勉強していただければ良いと思います。このノウハウによる馬の能力把握と条件や展開の見方を得てから、自分本来の予想方法から使えるものを取り込んでいけば、さらに優れた馬券術が生まれると思います。私は以前G1のデータ予想を行っていたので、一部のG1ではデータアートを調和する形で予想に取り込んだり、騎手や血統、厩舎等の傾向データを予想に加味したりもしています。

 とにかく、基本は正統派スタンスにより、レースを見て馬の能力を把握していくこと! この土台があって応用があるものと考えます。PRETに限らず、安定して儲けられる方の多くは正統派スタンスで予想をしていると思われます。

 更に言えば、正統派予想は人と話をする上で説得力があるというところが良いです。サインや出目は話として面白いのですが合理的ではありません。また、データ予想も合理性はあるのですが、やはり詰め方というかセンスというのが信頼できるかどうかは人それぞれで、貴方はそう信じるならそうすればで終わってしまいがちです。「この馬は強い、そして条件も展開も向きそう。だから買う」と言えたほうがすっきりしますし、強いのか否か、条件や展開が向くかというテーマにスポットを当てて語れるので議論が実になりやすいと思います。

PRET作成時