「Menjoy!」という「男女の性差」や「オトコの生態」を鋭く斬るブログメディアに標題の記事(7/23)がありましたのでご紹介しつつ、私の思ったことを書きたいと思います。
記事→http://www.men-joy.jp/archives/13911

(以下、内容(消えるかもしれないので、引用させて頂きます))
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最近は、パチンコ店や競馬場で女性客の姿を見かける機会も少なくありませんし、主婦のパチンコ依存が問題となることもあります。
しかし、そうした事象がとりあげられるのは、ギャンブルにハマる女性が珍しいから。依然としてギャンブルは、どちらかと言えば男性的な趣味と言えるのではないでしょうか。
なので女性から見て、ギャンブルに興じる男性の心理は理解しづらいかもしれません。特に負けが込んでいる状況だと、「なぜそんなお金をドブに捨てるようなことをするのだろう?」と不思議に思うことでしょう。そこで、当記事では、ギャンブルにはまる男性心理について解説します。(※1)

■思いがけない収入がほしいからやめられない?
ギャンブルはいくらお金をつぎこんでも当選するとは限らないという点で、“部分強化”と呼ばれる心理的効果があるといわれています。
“部分強化”というのは、ある行為をしたときに報酬がもらえるかどうか不確定ということ。逆の概念である“全部強化”は、ある行為をすれば必ず一定の報酬がもらえるということです。
一見、必ず報酬がもらえる“全部強化”のほうがオイシイじゃないかと思われますが、人間の心理とは不思議なもので、“部分強化”のほうがやる気をかきたてられるとのこと。“全部強化”だと面白みがなく、たまに思いがけない収入が得られる“部分強化”があるからこそ、ギャンブルは魅力的なのです。
特に、男性の場合、脳内ホルモンであるテストステロンの影響で、闘争心やチャレンジ精神が高い傾向にあるので、結果が不確定な勝負事であるギャンブルに女性よりものめりこみやすいといえます。
たとえば、最近は規制で少なくなりましたが、以前はパチンコ店で“出球ランキング”を積極的に発表しているところが多かったものです。また、通路にドル箱を派手に積み上げるのも、男性の競争心の高揚させる演出といえるでしょう。

■すぐに結果がわかるところが快感!
当選するかどうか分からない……という点では、宝くじも一種のギャンブルといえます。ところが、パチンコや競馬だと、経済的に破滅してまでのめりこんでしまう人がいる一方で、“宝くじで借金苦”なんて話はあまり聞いたことがありません。
なぜ、宝くじよりも、パチンコ・競馬のほうがハマりやすのかというと、後者の場合、“結果の即時性”があるためなのだそうです。つまり、パチンコや競馬の場合、お金を賭けてから当たりハズレの結果が出るまでに、ほとんど時間はかかりません。ところが、宝くじの場合、購入してから結果が判明するまでに、かなりの日数がかかってしまいます。
当選番号が発表される頃には、宝くじに興味を失っているということすらあります。実際に、宝くじの高額当選者が換金に現れないという事態も珍しくありません。(※2)(※3)
一方、パチンコの場合、打っている最中に大当たりの派手な演出があったり、みるみる出球が増えたりして、結果が目に見える形で現れます。また、競馬の場合、馬券を購入して間もなくレースで手に汗を握ることができます。こうした分かりやすさも、ギャンブルにはまる一因といえるでしょう。

■“勝利”は自分の功績に
結果の即時性があって分かりやすいといえば、たとえばジャンケンも当てはまるように思えます。ところが、ジャンケンで大金をかけて勝負するという話はあまり聞いたことがありません。なぜ、ジャンケンではなく、パチンコや競馬なのか?
この謎は、“効力感”の高さで解き明かすことができます。効力感とは、心理学用語で、ある事柄に自分が何らかの働きかけができるという感覚のことです。
ジャンケンの場合、勝負といっても、運不運の要素が非常に大きいです。もちろん、相手の顔色や心理をつくという戦略もありますが、基本的に自分で勝ち負けを左右することが難しいです。
一方、パチンコや競馬といえば、専門の雑誌や新聞も多数発行されており、勝つための研究に余念がないというファンも少なくありません。特に、男性は興味のある事については、とことんデータを収集してのめりこみやすい傾向にあるので、データの宝庫であるパチンコや競馬は男性を惹きつける魅力があるといえるでしょう。
データを研究して本当に勝率があげられるかどうかはともかくとして、ギャンブラーは、「研究すれば攻略できるかも!?」と密かに思っている人が少なくありません。
そして、たまに予想が的中して勝負に勝った場合には、それは自分の研究の成果だと感じるので、運不運で勝負で決まるジャンケンで勝つよりも強い高揚感が得られるのです。

■楽しい思い出があると止まらない!
勝った場合に嬉しいのは理解できるとしても、なぜ、ギャンブラーは大負けしても、ギャンブルをやめられないのでしょうか。
確かに、大負けした場合、ギャンブラーだって強く強く後悔します。「もう二度とやるもんか」と内心で引退宣言することすらあります。ところが、人間の心理には、嫌なことはなるべく封印してしまう“抑圧”という働きがあります。
さらに、楽しい思い出ばかりをつなぎ合わせて強化する“連合”という働きもあり、大当たりしたときの快感ばかりを反芻してしまうのです。
その結果、前の晩にはいくら悔恨の思いに打ちひしがれても、翌朝にはケロッとして開店前のパチンコ屋に並んでしまうという現象が発生します。

いかがでしたか? ギャンブルにハマる男性心理についておわかりいただけたかと思います。ただ、心理は理解できたとしても、とにかく彼氏や夫のギャンブル癖を何とかしたい……と考えている女性も多いのではないでしょうか?
そこで次回は、ギャンブルにハマる心理を前提として、ギャンブルをやめさせるのに効果的な方法について解説します。お楽しみに!

【参考】
※ 渋谷昌三(2006)『ギャンブルの魔力』 ゴマブックス株式会社
※ ニュース速報プラスプラス : もったいない…09年の年末ジャンボ、高額当選くじ26億円分が未換金
※ 昨年の「ドリームジャンボ宝くじ」、高額当選11億5000万円分が未換金 ニュース-ネット証券・自動車保険のオリコンランキング
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競馬ファンとしてこの記事を読みますと、理解するための情報は色々と盛り込まれていて、そういう考え方もあるかもしれないと思いますが、「なぜそんなお金をドブに捨てるようなことをするのだろう?」や、「ギャンブルをやめさせるのに効果的な方法について解説」という文言を見ると、ギャンブルをする男性を否定的に捉えている女性の身に沿ったスタンスであり、それがいつもの「競馬=ギャンブル→良くない」という図式であることが気になりました。

今回の記事も、ギャンブルを「パチンコや競馬」の2つを代表例として掲げられていますが、以前、HPでも掲載しましたとおり、中毒性という面でこの2つの危険度はかなり隔たりがあると感じています。

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「競馬依存症を考える」より引用)

競馬に限った依存症及び中毒について書かれたページは少ないことがわかる。更に、競馬のページの内容を見ていくと、競馬依存症という言葉を、そのページ製作者が自嘲気味に使っていたり、依存症診断といったコーナーとして使われていたりするものばかりで、それを病気として扱う深刻なページは見当たらない。パチンコ依存症を検索した場合、依存症改善を相談する集会所的サイトやそういった施設のサイトまである(例えば、「パチンコは麻薬」http://www.geocities.jp/pachimaya/ 、「join in the laughter~一緒に笑おうよ~」http://www.geocities.co.jp/SweetHome/5046/ 、「強迫的ギャンブル回復施設ワンデーポート」http://www5f.biglobe.ne.jp/~onedayport/ など)。また、「危険なギャンブル」というキーワードで検索をかけてみたところ、一番上に表示されたサイトはずばり「パチンコを考える」(リンク先消失)だった。ギャンブル依存症よりパチンコ依存症のほうが、ヒット数が多いのも特筆すべきものだ。それと比較すると、競馬は思いのほか深刻な依存や中毒とは縁が薄いように見える。
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ギャンブルとしての共通点ももちろんありますが、競馬ファンに馬券をやめることをすすめるほど、競馬は良くないものだと言えるのでしょうか。そもそも、なぜやめさせられなければならないのか、問題性についての議論を先に行うべきと思います。

彼が競馬をするのが嫌だという女性は、なぜ嫌であるかを考えて頂く必要があるでしょう。その理由が「お金をドブに捨てているように思うから」であったら、それは彼の競馬に対する姿勢や努力(と少々の幸運)が足りないのが原因とは考えられないでしょうか。

確かに控除率の問題があって難しいにせよ、オッズは人間が作り出しているものである以上、その壁は乗り越えられないものでもありません。

ですから、お金が儲かる儲からないという視点で、マイナスになるからやめさせたほうが良いのではないかと思うのであれば、「やるならもっと真剣にやりなさい」と逆に言ってみるくらいの度量がほしいものです。

儲からないのが問題ではなく、時間を割かれる(自分を大事に思ってくれない、自分との時間が減る)のが問題であれば、そう問題提起をすべきです。むしろ、こちらのほうが現実的な問題として多いのではないでしょうか(これは、男性の趣味が競馬であることに限らないのでは)?

そこから先は、ふたりの時間の使い方次第ですので、話し合うなりして折り合いをつけるしかありません。女性が譲って競馬をする時間を認めてくれるか、男性が女性と一緒にできることに競馬以上の楽しみを見出して競馬に割いていた時間を削るか、もしくはその両方で。その場面においても、女性には彼の競馬の活動の根源を理解して頂きたいと思います。

競馬をしている男性にとって、競馬は「勝った負けた」、「儲かる儲からない」以上の活動として行っている可能性もあります。お金だけの話であれば、儲けを出すのが難しいことを理由にやめるよう説き伏せられるかもしれませんが、多くのファンにとってはお金だけのものではないように思います。

私のように、競馬を単なるギャンブルに結び付けられてマイナスイメージを持たれる現状を改善したいために、予想技術でプラスを達成できるよう「競馬予想の芸術化」を目標としている方は珍しいと思いますが、知的ゲームとして、将棋や囲碁以上の深みを感じて楽しんでいる方もいるでしょう。

このような精神的活動や、競馬予想の深さや面白さを知ることができれば、ギャンブルが悪いものといった一般的な見地を見直し、それだけで否定してもしょうがないことを理解して頂けるのではないかと思います。もちろん、男性側も女性に対して、場合によっては賭け金や成績も含めオープンにして、理解を求める(安心させてあげる)ことが必要でしょうけれど。

一緒の時間を過ごすひとつの娯楽として、女性側も競馬を趣味にするという方法も解決策のひとつだと思います。前掲の記事に、「特に、男性は興味のある事については、とことんデータを収集してのめりこみやすい傾向にある」と書かれていまして、女流は確かに少ない世界ですが、それならそれで、男の世界を理解して頂きたいものです。

当記事の続編「ギャンブルをやめさせるのに効果的な方法」についても注目したいと思います。

2011年07月25日