自分にとっての競馬が当初は、友達付き合いから始まり、折角だから的中させたいと思う「ギャンブル」であり、現在のような考え方(純粋なギャンブルではなく、他のギャンブルとは一線を画す)をするようになるまでにはある程度の時間を要したように、多くの方にとっても、競馬をやってみる当初の動機は、誘ってくれる人から来る縁であったり、ひとヤマ当てたいという金銭面での誘因からではないでしょうか。

これは競馬に限らず、多くのギャンブルで同じような思考があると思います。競馬の発展を考えるに当たって、このような動機があることを否定はできませんし、ギャンブルである面(幸運、不運によって大きく儲かったり、負けてしまったりすること)を前向きに捉えて良いと考えています。ギャンブルに係る問題は、個人の金銭感覚であったり、借金をしてまでやりたいと思ってしまう中毒性への制御力ですので、それに負けない精神力を磨くのにも、投資機会がある程度限られる中央競馬は逆に勉強になると思っています。

以前、競馬とパチンコを両立して勝てるほど競馬は甘くないので、両方はやらないでほしいというコラムを書いたことがあります。それはパチンコで勝つにも技術があって、それは台の見極めに関する技術であると私は認識しており、朝早くから台選びのために並んでいるような時間があったら、競馬のレース回顧をしなければならない、という意味でした。

しかし、パチンコの現在は、事情が変わってきているようです。
以下の特許情報プラットフォームで「パチンコ玉の出玉率をユーザ」で検索してみてください。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopSearchPage.action#

これは、パチンコの出玉を個人別に管理し、遠隔操作をする技術の特許です。発明の要約を見ると以下のとおり書いてあります。

【課題】 パチンコ台の出玉率をユーザの利用状況などに応じて調整する。
【解決手段】 ICカード1に利用者の識別データが記録されるユーザIDエリア1Bを設けると共に、ホールコンピュータ3に識別データに対応して利用者の利用状況を示すポイントデータが各個に記録されたデータベース34を接続し、ホールコンピュータでは、データベースのポイントデータにより出玉率を決定してユーザIDとともにパチンコ台へ送信し、パチンコ台では、挿入されたカードのユーザIDとホールコンピュータから送信されたユーザIDとの一致を検出すると、予め設定された出玉率を、ホールコンピュータから送信された出玉率に変更してこの変更データに応じた出玉の制御を行う。
従って、各パチンコ台の出玉率をユーザの利用状況などに応じて調整できる。

現在、全てのパチンコ店でICカードが導入されているのかを私は知りませんが、ICカードが導入されている店では、この技術によって顧客はその勝ち負けまで店側にコントロールされている可能性があるようです。漫画カイジのパチンコ「沼」編に出てきた遠隔操作のようなものが想像されます。

これでは、いくら出る台を見極める技術を持ち、朝から並んで台をゲットしたとしても、個人で収支が管理されるのだから、たちまちに控除率に応じたお金を取られるように出玉を操作されてしまうと考えられ、ひとヤマ当てることは難しいですし、継続的に儲けることはまず不可能でしょう。

パチンコファンの方は、このようなほぼ負けの確定しているギャンブルに面白味を感じられるのでしょうか。そもそも、遠隔操作で手のひらを転がされている状況を知っているのかもわかりませんね。

動機が「ひとヤマ当てたい」というものであるならば(趣味を見つけたいということであれば尚更)、競馬のほうが良いように思います。技術を上げれば、プラスにすることも可能ですし、WIN5で2億円の夢を見ることもできるようになりましたから。

2011年08月18日