天星指数を土台とした予想理論の、「短期的能力固定」と並ぶ重要項目が「リスク概念」です。指数の精度が上がり、レース回顧における能力評価をより正確にできるようになっても、指数が高いはずの馬が条件や展開等の不利がないにもかかわらず指数を大きく下げて凡走してしまうケースがあります。

 前項でお話してきた「短期的能力固定」をあっさり否定するようですが、様々な条件下では、能力は固定せず変動します。「能力固定」が世間で聞かれないのは、通常レースの結果には能力通りに決まらないことも多くあるからなのです。この部分の考え方こそ、PRETが不完全ながらも、世の中の予想よりも一歩進んでいる部分になるのではないかと自負しているところです。

 私の理論は能力が固定されることを根本に据えているので、固定するはずの能力が変動する要因を「リスク」と捉えます。リスクの種類については各論にて解説しますが、例えば、距離延長(最高指数を出したレースの距離より、今回は一定以上距離が長くなったとき)による急激な指数下落や、キャリア1戦馬の上積みによる指数上昇などが挙げられます。条件面にカラクリがないレースなのに能力通りに決まらない時は、その出走馬の中に能力変動のリスクを持った馬が存在しているということで理解します。リスクの種類はある程度パターン化され、事前にその変動を予期することを可能にすることにより、展望や予想において的確な判断がしやすくなっていきます。

 基本は能力固定。能力変動の可能性があるリスク該当馬は、その指数の伸縮について警戒する。能力とリスクを分離して考えるというのがポイントです。そのような予想を行っていれば、リスクが多いレースは回避し、リスクが少ないレースに厳選して勝負することができます。リスクが少なければ多くの馬の能力は固定しているのだから、あとは条件等のプラスマイナスを利用し効率的に結果を出せるようになります。

 例えば、12頭立てのレースで、全ての馬がキャリア2戦以上で、2戦目以降に今回の距離を経験し、そこで自己最高指数を出していて(つまり、リスクがない状態で)、かつ、そのうちの4頭の指数が他の8頭の指数よりも5ポイントも高いような場合、その4頭で馬券が決まる可能性は極めて高いと考えられます。そして、当日の芝コースが内先行のバイアスであれば、内を走れる先行馬を軸にしたり、後方からしか競馬のできない馬をおさえに回したりといった狙い方ができるようになります。ここまで来れば、回収率75%はもちろん100%の壁すら、乗り越えられる高さに見えてきます。

 PRETでは、天星指数算出のシステム化を実現し、過去第一期からの若駒戦各シーズンの指数を算出し直し、各種リスクの出現パターンやその大きさの傾向等を、通常の予想や回顧と同時並行的に分析していき、その分析結果はレポート等で発表して、できる部分から予想に反映していく予定です。どんな結果が得られるかはまだわかりませんが、突き詰めていく楽しみがあります。それをリアルタイムで一緒に勉強していけば、あなたの予想法にも大きなプラスとなると思われます。

2007年頃記載