今、「ツキの法則」(谷岡一郎著)という本を読んでいます。

確率・統計理論に基づき、「必勝法の迷信・誤解」「より早く確実に負けてしまう方法」などを説きながら、ツキの正体を明らかにする。賭け方・勝敗の意外な関係と賭けの真の醍醐味を教える、ギャンブルの科学、という紹介がされている本です。

ギャンブラーの意識として、当たった時は自分の理論の正しさと思い、外れたときは外部のせいにするとか、マーチンゲール法について、ルーレットで赤が7回連続で出ていたらそろそろ黒にと思うが、次に黒が出る確率は約1/2だとか、サインや占いによる馬券術や宝くじの当て方のような因果関係のないもの指摘するような当たり前だったり理解できることが沢山書かれているんですが、競馬も含め、ギャンブルは(分散のために今儲かっている人はいるかもしれないが)確率論的に儲からないというスタンスに立って書かれています。

ただ、「科学的」と自称する必勝本の類を批判されていることについて、僕としてもこの方の科学を批判させて頂きたいと思います。

谷岡氏は「「大数の法則」という絶対真理」と書き、長期的に賭けると必ず控除率に収束すると説かれています。

でも、大数の法則が成り立つ条件は、確率が固定された条件でそれを繰り返さなければなりません。

まず考えて頂きたいのは、競馬は全く偶然のギャンブルでは絶対ないことです。

もし、全く偶然のギャンブルならば、なぜ、最低でも5頭以上で行われる競馬の競走で、年間の1番人気の勝率が3割以上なるのかが説明できなければなりません。
平均の出走頭数はわかりませんが、多分10頭以上でしょうから、仮に10頭としても、そのうちの1頭が勝つ平均確率は10%です。3割との乖離は異常です。

もっと感覚的に掴んでいただくなら、例えば全く偶然のギャンブルだったら、ディープインパクトの単勝が1.1倍になることもないでしょうし、ディープの単勝が16倍とかつくのであれば、ずっとディープインパクトの単勝を買って我々は大儲けすることができたはずです(笑)

すなわち、厳然たる馬の身体能力が結果に現れていると考えられます。

目のこえた競馬ファンが期待値を測るから1番人気のオッズが安くなり、実際に3割以上は勝利しているということです。これが競馬が全くの偶然ではなく、技術が介在することの証明になります。

じゃあ1番人気をいつも買うモデルを採れば、確率を固定できるという考え方はあります。実際、その条件下では75%に収束するかもしれません。

でも、1番人気にも、オッズで言えば単勝1倍台の断然人気もあれば、5倍台の本命馬不在の押し出されケースもありますし、感覚的に言えば堅い本命もいれば危ない本命もいます。ここの判断は、予想する側の技術で変わります。優れた技術を持てば、危ない人気馬だけを買わないという選択ができます。そうすれば、収束予定の75%以上の回収率を維持することができて不思議はないはずです。

著者自身、本の話の中で、大橋巨泉氏の1971~1988のG1予想の回収率を算出して、80%を超えていたことを「彼の予想が大変優れたものであったことの証左」と絶賛していますから、技術があることは認められているようなんですが。

そうすると、技術が高くなれば80%を90%にできるかもしれませんし、100%を超えることもできるかもしれません。これを達成できない理由にはなりませんよね。

確率・統計的(科学的)に競馬で勝てないとは言えない、というのが私の結論です。

競馬を始めてもう10年になりますが、ここ4、5年は毎年100レースくらい予想していて、合計500レースくらいで的中率が約40~50%、回収率もプラスであることは間違いないです。

今や、ネットの普及や環境の変化で大橋巨泉氏が予想をしていた時代とは予想技術のレベルが違います。身体能力を精度良く見積もる指数理論は発達していますし、トラックバイアスやブラッドバイアス等の正しい技術を身につければ、的中率と回収率を高めることができます。

何度も主張してきたことなので今更な感じもありますが、そう思っている方がとても多いので再度書きます。

まだ読み途中なので、続きを書くかもしれません。

2009年02月19日