私はドラゴンクエスト(ドラクエ)を学生時代に楽しんでいた世代なので、今回はこんな例え話から入ろう。

ドラクエ1の序盤、ラダトーム城から始まった物語。手持ちのお金は120Gで、初期装備がたけざおとぬののふく。武器防具屋には、60Gでこんぼうが、90Gでかわのたてが売っている。さて、この状況で何を買う(あるいは買わない)か。

この判断には個人の性格によっても差があると思う。もう少し細かい状況を考えれば、こんぼうを買ってスライムを一撃で倒せるようになるなら、そのほうが効率的かもしれないし、上位ランクの武器や防具が手を伸ばせそうな金額で売られているのなら、そこまで貯めたほうが良いと考えることもあるだろう。

しかし、このような場合、私はかわのたてを買うようにしてきた。基本的に、序盤は敵から受けるダメージが少なければ少ないほど、安全に戦うことができるから、それが合理的だと思っていたのだ。防御力は数レベルの成長で穴埋めできるかもしれないが、当時の守備力は「すばやさ」の半分の値だから、それなりの価値があるのだ。この差により、受けるダメージが1変わったりするため影響が大きく、敵が複数になるドラクエ2以降では如実に効果が現れる。

1ターンで受けるダメージが読めれば、回復のタイミングや逃げるかの判断も容易に行える。やくそうで回復できる値は固定されているから、1ターンで受けるダメージが少なければ少ないほど、回復してから動けるターンが増える。こちらの攻撃力が低くければ、敵を倒すのに時間がかかり、結局受けるダメージは大きくなる可能性はあるが、ダメージをほとんど与えられない極悪なゲームバランスになっていない限り(普通なっていないので)、冷静さを維持しながら判断できる。

この考え方って、競馬予想にも通じるところがあるのではないか。長く競馬を楽しんでいる方は、そもそも馬券の原資が余裕資金であったり、1レースでの投資金額を小さくしたり、賭けるレースを絞るなどしていると思うが、不的中が延々と続けばモチベーションを維持できなくなるだろうし、本来勝負レースだと思ってきたところで資金不足になったり、予想に対して疑心暗鬼になってしまうこともあるだろう。資金ショートが近づけば、熱くなって冷静な判断力を保てなくなるおそれも高まる。

競馬予想における防御力とは、負けにくい的中重視の予想技術の高さを示すものであるが、それによって、資金ショートを遠ざけ、冷静な判断を継続させることに意味がある。元返しや取り紙の的中は軽視されやすいが、資金ショートを遠ざける効果は着実にある。防御力を高めるには、的確な能力把握と、それに基づくレース選択が重要であり、メンバーの能力分布がわかれば、軸馬の判断につながり、そこから見出される大まかな期待値とオッズを見比べれば、購入対象とすべきかの判断もできる。

的中率よりも回収率が重要だとよく言われるが、心穏やかに競馬を続けていくには、的中率を高めることにも気を配ったほうがよいだろう。