私は「競馬予想の芸術化」を掲げ、そのための一側面である「競馬及び競馬ファンの社会的地位向上」を推進しようと考えています。これを推進するために、もう少し頭の整理をしていきたいと思います。例えば、またいつもの比較ですが、競馬予想と将棋を比較すると、プロの競馬予想家と将棋の棋士とでは圧倒的に後者のほうが社会的地位は高いと思います。どうすれば競馬のイメージアップを図れるかについて、予想情報発信者ができる範囲で考えたことは以下のとおりです。

A.競馬ファンの予想に対する理解水準を上げる

巷には、いまだに関係者情報や、必ず儲かるなどの謳い文句に踊らされて、実績に裏付けのない高額の予想を購入されてしまう方がいます。もちろん、このような情報を売る側(以下、「悪徳業者」という)に問題があるのは当然ですが、簡単に騙されない競馬ファンを増やすことによって、悪徳業者の収入源を減らし、退出してもらうことができれば、結果的にイメージ向上に寄与できると考えます。

そのためにできることと言えば、実力のある競馬予想情報発信者や競馬予想情報発信業者(以下、「予想家等」という)が、一定程度の予想理論や透明化した実績を開示することではないでしょうか。理論を示すことで、深遠かつ知的な娯楽であるという認識を広げられ、理論や過程がしっかりしていない予想の価値は相対的に下がりますし、実力があれば長期的にも必ず負けるギャンブルではないことを証明することができます。

予想力がある予想家等は、競馬(予想)の世界においてパワーを持っています。パワーを持っている人間は、その世界に対して奉仕しなければならないという倫理を持って頂きたいものです。

B.予想家等は、読者に対し、有料サービスに勧誘するため又は注目を得るために、真実の実績を誤解せしめる虚偽の実績開示や誇大広告を行わない

これは全ての予想家等がそうだと言っているわけではなく、誠実な予想を提供している方もいます。ただ、所謂悪徳業者が多い業界のため、一般に求められる以上の高潔な姿勢が求められると思います。そして、これからは、そのような思いを持つ方々がお互いを評価することによって連携していかなければいけないと思います(この考えの延長線に協会構想があります)。

しかしながら、複数の業者等を運営し、それぞれが真実の実績を示していると謳うことによって偽装する方法も考えられ、これらを乗り越えるためには、無料予想を公開し、その結果の集計を実績とするような、より透明化した情報公開をしていくしかないのではないでしょうか。

もし、プロの予想家等でこの点を軽視し、自身の利益のために虚偽の情報開示や誇大広告を行っていれば、競馬ファンも含めた業界のイメージダウンに繋がる行為であることを認識し、即刻やめていただきたいと思いますし、この世界においてパワーがあると自負されるなら、真実の情報開示を行って頂きたいと思います。

なお、馬流天星においては、予想成績をわかりやすくするために、「増益的中率」等の独自の概念を創作し、「予想力」を計算するためのエクセル表を公開しております。

C.予想家等は、競馬(予想)の文化的発展や社会貢献を念頭に置く

競馬予想の世界における大きな課題は、競馬には約25%の控除率があり、マイナスサムゲームであることから、「誰かのお金を奪うことによって、自らの利益を増やす」という構造であることです。この現実と対峙すると、自分が儲かれば良いとか、自分と自分の予想を買ってくれる人が儲かれば良いという精神構造になりがちなのは仕方のないことかもと思わされます。

ただ、このような考え方をしてきたからこそ、この業界は現状の社会的地位に陥っているのではないでしょうか。自分たちの利益のみを追求する者たちが、第三者から尊敬され、賞賛されるわけがないですから。

(もちろん、現状においても、中には大震災時に寄付をしている方もいましたし、社会貢献につなげようと努力されている方もいます(全面的に大賛成です))

従って、プロの予想家等には、単に自身や顧客のみの利益のみを求めるのではなく、競馬予想の文化的発展をより上位の目的に掲げて頂きたいと考えます。実力のある方なら、競馬予想の奥の深さは理解されていると思いますし、それをより多くの人を巻き込んで開拓していくのは、とても刺激的で面白いことだと私は思います。

例えば、一部の予想情報開示すら、会員の利益を盾に明らかにしないというのは、利己主義的な発想であり、会員以外の競馬ファンを(ゼロサムゲームという観点で)敵に回していることになります。サービスの約款がそうならば、目的を変えて、顧客の理解を得るようにされれば良いと思います。

また、一方で、情報受領者側にも、考え方を変えて頂きたいと思う点があります。

Z.回収率がマイナスであれば直ちに悪徳という認識を持たない

予想家等が悪徳かどうかは、有料読者であれば、約款のサービス内容と異なる場合(約束を守らない)場合であったり、誠実な対応をしてくれないといったケース、一般には予想実績について嘘をついているケースなどが考えられます。

「絶対に儲かります」「年間プラス回収を実感できます」等の約束によって有料サービスを提供しているにもかかわらず、どう買ったらプラスになるかを明示せずに、予想を平買いしてプラスにならない場合は、嘘をついているので悪徳と言えますが、そもそもプラス収支を約束していない予想家等も存在しています。

そもそもプラス収支を約束していない予想家等に対して、プラスにならないから悪徳だと言うのは筋違いです。

(なお、プラス収支を約束していない予想家等でも、虚偽の予想実績の開示などを行っている場合は、嘘をついているので悪徳と言って良いと考えます)

Y.一緒に考えて頂き、競馬(予想)の文化的発展の観点から評価する

自分の考えは所詮理想論だと言われてしまうものかもしれませんが、ビジョンを描き、それに沿った活動をしていくことで、現実を少しでも理想の方向に動かせるのであれば、やらないよりもやったほうが絶対に良いと思っています。

もちろん、自分の考えに至らぬところがあれば、方法についてご意見等頂ければ幸いです。業界を良くしていきたいと思われる方々にご助力頂けなければ、変わらないでしょう。是非、ご自身でもできることをお考え頂ければと思います。

2012年04月05日