世の中には、競馬の結果が事前に仕組まれていて、裏の情報ルートからそれを知っている等と言ったり(インサイダー系)、天才馬券師を擁しており、過去にこれだけの(実際は虚偽の)実績を出している等と言ったり(実績詐欺系)、様々な悪徳の予想・情報配信業者がいるようです。

自分で予想をすることが生きがいの私はこういった所に興味がないので、彼らがどのような情報を配信しているのかは具体的にはわかりませんが、巷の雑誌や新聞等で公告を出している怪しげな業者のやり方を見ると「必ず儲かる」と誤解させるような表現が多いと思います。

私も競馬はある程度技術が通用すると主張しつつ、次の予想レースで確実に勝てると言い切れるレースはありません。全財産を次のレースに賭けられることはありません。しかし、そのような悪徳業者は、確実な利益を得られると誤認させるような勧誘を行っているようです。

このような公告の内容は以下のいずれかの違法行為に当たる可能性が高いです。

・消費者契約法第4条1項1号 不実告知
業者が、契約の重要事項につき不実(うそ)を告知し、消費者がその不実を事実と誤認して契約を締結したと言える場合、契約を取り消し、返金を要求することができます。

・消費者契約法第4条1項2号 断定的判断の提供
業者が、消費者が勝てるかどうか見通しが難しいものについて断定的な判断を提供したことにより、消費者がその断定的判断を事実と誤認して契約を締結したと言える場合、契約を取り消し、返金を要求することができます。

・民法第95条 錯誤無効
業者が、必ず勝てるんだ、損をすることはないんだ、と消費者を信じ込ませ、その結果消費者が錯誤(勘違い)に陥り、契約をしてしまったと言える場合に契約の無効と返金を要求することができます。

・民法第96条 詐欺による取消
業者が、消費者を積極的に騙す意思をもって虚偽の事実を説明し、消費者が錯誤に陥ったのに乗じて契約させ、金銭を交付させたと言える場合に契約を取り消し、返金を要求することができます。

例えば、「断定的判断の提供」について、消費者契約法第4条1項2号に以下のとおり記載されています。

「物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認」

長い文章ですが、将来における変動が不確定な事項について断定的判断を提供すること、を言っています。

すなわち、契約勧誘時に競馬情報詐欺、攻略法詐欺業者から、
「この情報を使えば必ず勝てます」
「○○万円稼げます」
「レースの結果は決まっているので、特別に情報を提供します」
「この情報を基に馬券を購入すれば、○○万円手に入ります」

などと言われて契約をした場合であって、その説明を確実であると誤認して契約した場合には、「断定的判断の提供」を理由として、契約を取り消すことができます。

有料で予想を発信している方は、明確に、必ず儲かるとは言えないことを表明しておく必要がありますし、どこかに書かれていたとしても、それを誤認させるような予想の記述は避けるほうが無難でしょう。

そして、読者側は引っかかってしまった場合には次のような内容証明郵便を出す等の手はありつつ、そもそも甘い話に惑わされないことが大事です。
http://naiyousyoumei.e-bunsyou.com/296naiyousyoumei/

また、この業界には自分の予想に対する過剰な自信ゆえか、予想で断定的に結論付けることが格好良さに繋がると考えているからか、生業としてしまった以上誇大に振る舞うしかなくなったからか、上から目線で断定的な表現をする方がしばしば見かけられますが、読者に対し、上記のような誤解を与える可能性が高くなることに注意をしたほうが良いでしょう。

予想に自分なりの責任を持ち、結果を謙虚に受け止めることができずして、いっぱしの予想士とは言えません。尤も、これは私の個人的な美学ですが、技術を高めるには結果を受け止めた分析が必須です。

2011.07.20