競馬の馬券の税金問題について、以下の報道がありましたのでこちらでも取り上げておきます。

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「外れ馬券は経費」認めず=北海道の男性は敗訴―東京地裁
時事通信 5月14日(木)15時3分配信

 競馬の外れ馬券の購入費を経費と認めず、6年間で所得税など約1億9400万円を追徴課税したのは違法として、北海道の男性が国に課税処分の取り消しを求めた訴訟の判決が14日、東京地裁であり、増田稔裁判長は請求を棄却した。
 外れ馬券の購入費を経費と認めるかについては、大阪府の元会社員の脱税事件で、最高裁が3月、「購入期間や回数、頻度などを総合考慮して判断する」との基準を示し、「馬券の自動購入ソフトを使い、長期間にわたり網羅的にネットで大量購入していた」として、経費算入が認められた。
 男性も「独自のノウハウに基づき、日本中央競馬会(JRA)主催のほぼ全てのレースで数百万円から数千万円の馬券を継続的に購入していた」と主張し、経費と認めるよう訴えていた。
 しかし、増田裁判長は「金額は多額だが、レースごとに個別に予想して馬券を購入した」と指摘。「機械的に購入していたとまでは言えず、一般的な愛好家と質的に大きな差はない」と判断し、訴えを退けた。

国税庁は既に、前回の最高裁判決を受けて、下記リンクのとおりパブコメを実施しています。

「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)(競馬の馬券の払戻金に係る所得区分)に対する意見公募手続の実施について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=410270009

国税庁の対応は、以下のように今回の裁判のような例だけを例外とする規定を設けるものです。

(2) 競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)
(注)1 馬券を自動的に購入するソフトウェアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。
2 上記(注)1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する。

既に締め切って1か月近いので、そろそろ結果が示されると思います。
内容が変わることはないでしょうけど、どんな意見があったかは見てみたいですね。

さて、本件記事の北海道の男性については、馬券購入記録は残っていない部分もあるそうで、それは控除できないだろうと思うのですが、そもそも、システム的な継続購入ならOKで、レースごとに個別に予想して購入したらNGという判断基準はおかしいと思います。むしろ、直感的には後者で想定されるライトな競馬ファンを安心させてあげるべきでは。

以前より私が指摘しているのは、馬券の払戻しに対する課税は「担税力の観点で見るべき」ということ。
前回の最高裁判決は画期的ではありましたが、まだ保守的な場当たり的なものであり、このような事態が発生しています。

「馬券を自動的に購入するソフトウェアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合」の各論点の線引きはどこでなされるのでしょうか。ここまで書けば該当する例はほとんどなくなるだろうという意図が見えますね。

馬券の税金の関係は風化させないよう、引き続き注目していきたいと思っています。

2015年05月15日